生きるということは食べるということ。

食べるということは殺すということ。
やっぱきれいごとじゃないね、分かっちゃいたけどさ。


一昨日スッポンを食べました。
ちょうどゼミ発表も済んだしバイトも流れたし誕生日の子もいたしってんでついに食べました。
正直食材に釣られてこの日にしようって言っちゃったけど、女の子の誕生日にやるもんじゃなかったかなと若干反省しとります。
せめて鍋ができてから来てもらうべきだったよなぁ・・・
ケーキとワインでとりあえずの格好がついてよかったね。
発案者(kuriだっけ?)に多謝!


筋肉の部分は牛スジのような、少し固い肉の中に味が詰まってる感じ、実際牛っぽい味だったかな。
縁ペラみたいなゼラチン質の部分はホントにとろとろ、特に臭みもない反面味は少し薄かったか。
肝臓も食べた。牛レバーと相違なし。
そうそう、雌だったこともあって卵も食べた。白い殻ができかけのヤツとまだ黄色いヤツ。黄色い方は濃縮された卵の味で、黄身の味と匂いを強くした感じ。小さくても1、2個でお腹いっぱいってくらい濃い。
最後の雑炊もちとごぼうが効きすぎた感もあったが、十分スッポン風味も味わえた。というかやっぱ雑炊はうまい。頭の部分の次にうまかった。頭の肉はただの固いスジとは一線を画してた気がする。魚のほっぺたの肉みたいなもんなんかな、柔らかいながらもスッポンの味が一番強い感じ。


まぁ調理法もアバウトだったし素人料理だ、これでスッポンのうまさを知り尽くしたとは決して思うまい。


二日前に食ったはずなのに報告が今日になったのはちと体調不良だったもので。
昨日一日ホントになんも食べてない・・・
原因は食い過ぎて腹がいっぱいになっちゃったせいか、精神的疲労のせいか、はたまた食中毒とか寄生虫の類いか。。。


以下、殺生体験談に付きグロ注意。


実はこのスッポン、友人が生け捕りにしてきたヤツを自分たちで捌いて鍋にしたんですね。


昔新聞かなんかで、小中学生あたりの子供に自分たちが食べる鳥を絞めさせる、ていう授業があったというのを読んだ。
これにはかなりショックを受けたね。
だってこれからどんなに勉強したり旅行したりして経験値ためて器広げても、こういう根源的な体験ってのはそうそう出会える機会がないことは簡単に想像がついたし。
その授業を通して得られるものは将来自分にとって最も欠けた感覚になっていく気がして少し焦りも感じてた。


正直僕は殺生がかなり苦手です。
まず血がダメ。
内蔵がダメ。
中学の時の生物の授業、カエルの解剖はほとんど人任せだった。


しかし、こーゆーのから逃げるのってやっぱ現実から目をそらしてるだけな訳だし、自分の立ち位置を知るというか、客観的な事実ってヤツを俺は知っとかないかんと思ってはいたわけです。
ただ一人でやるんはなんか怖いし、一歩間違えればただの虐待な気もしてたわけで、今回の機会は得難いもの、自分としては逃げるわけにいかんと思っていたのです。
何を大層に、ビビってるだけやんと言われればそれまでです。
でもこういう機会に参加できたことをスッポンと研究室のみんなに感謝しております。


前置きが長くなりました。
自分が忘れないためにも今回の経験を覚えてる限り、言葉の出る限りで書き残そうと思います。
ということで再度以下グロ注意。


今回食べたスッポンは二週間ほど前に捕獲した。捕獲者によって約二週間、冷蔵庫に入れて糞抜きを行った後、調理に移った。
調理法は二つ、まず血抜きして湯通し、鍋に移るというものと生きたまま湯通ししてから捌いて鍋にするというもの。まずは前者を試みせめてもの痛み止めとしてアルコールでおとなしくさせた。料理酒程度ではおとなしくならず、無水アルコールに直接浸したところ完全に沈黙。ときどき酔っぱらいらしくしゃっくりをしていた。しかし時間をおくとすぐ暴れだすため、前者の方法では捌きにくいと判断、一度湯通しで殺した後に捌くことになった。いきなり熱湯に入れるのではなく、ぬるま湯程度の水を貼った鍋に投入、強い力でもがくスッポンを蓋で押さえつけてしばらく強火で加熱、死んだことを確認後沸騰する前にざるにあける。流水で冷やしつつ甲羅部分の皮を剥ぐ。まな板に移して解体を始める。机に新聞を広げ、その上にまな板と出刃包丁を用意。首をやや引っ込めた形で硬直していたのをひっぱりだして切断。脛骨が思いのほか硬く、かなりの力を要した。予想されたほど血は流れなかったが、それでもぼたぼたと流れる。一度流しで流す。次に甲羅側面に包丁を入れる。膀胱を傷つけるとアンモニア臭が付いてしまうため慎重に作業。甲羅が固すぎるため途中から料理ばさみを使用した。甲羅は背骨のようなものらしく頸骨とも繋がっていた。これも料理ばさみで切断。あとは癒着しているスジのようなものを慎重に剥がして上の甲羅をとる。まず目についたのは左右に大きく広がる黒ずんだ袋。触ってみると丸くて固いものが複数入っていることが確認され、卵巣と断定。四肢の付け根などには黄色い脂肪と思われるものが多数確認された。内蔵を包む袋ごと下側の甲羅から剥離。膀胱の位置、形や大きさが分からないため慎重に分解する。おそらく大腸と思われるものから先を切断、卵巣とともに分解する。膀胱は白色透明の袋が二つ、間に今にも破裂しそうなほど液体をたたえた薄い袋が挟まれていた。つづいて内蔵の剥離。肝臓をとる際に胆嚢と思われる袋が破れて緑色の液体が出る。食べられる臓器がよく分からなかったこともあり、肝臓と、偶然見つかった小さなハート形をした心臓を選り分けた。ここまで肉らしい肉は無い。肉は四肢の部分と首にそれぞれわずかずつだが確認。料理ばさみで甲羅から切断、爪をとって準備完了。腹側の甲羅は四等分して出汁とした。
料理方法はごぼうとショウガを入れた鍋で、水と酒を1:1にして灰汁を取りつつ約2時間煮続けるというもの。本来ならコークスで一気に高温にして調理するそうだが、電磁調理器の鍋で200℃に設定して根気よく灰汁を取る。最後に白菜、人参、ネギ、水菜、豆腐を入れて完成。余談だが完全に煮えると上側の甲羅の骨の間の肉が取れて主脈と側脈だけが残ったような形になる。人間の背骨とあばらと同じだ。


食べる前に疲れちゃって食べ終わってからもどっと疲れちまった。。。